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その炎はジンを焼くことなく、ジンの顔からつま先までもを全て覆いつくし、時折、揺らめく炎の隙間からジンの眼光鋭い目が露わになる。
ジンが歩くごとに、木が発火し、足跡が焦げる。
「我が神より授かりしはロウソクのともし火。火を切ることができる者がいるだろうか? 火に燃やされぬ者がいるだろうか? 誰にも我を傷つけることはあたわず、誰も我が炎から逃れることはかなわない。故に我は人類最強! 我は人類最強の教会騎士、ジン・十弐・ソウマなり!!」
ジンの名乗りが炎を巻き上げて空高くにまで届いた。
教会騎士が恐ろしいのは神の言葉を使うだけだからではない。彼らは神具を操り、誰もが一騎当千の実力を持つ。その強大な力は味方をも巻き込む恐れがある為、戦場では常に単騎で敵の中に殴り込み、無傷で騎士団を壊滅させるような連中だ。
「神の怒りに焼かれよ!」
ジンが軽く手を振るだけで、その手から巨大な炎の固まりが生まれ、僕達に向かって飛んでくる。
ルイスが腕を横になぎ払うと、炎が僕に届く前にボンっとはじけて、飛び散った。
小さくなった炎は、周囲の木々を燃やすが、僕達には届かなかった。
「神の炎を防ぐとは不敬である!!」
ジンは両手を空に掲げて怒鳴り、動けない僕達の身体が轟音でブルブルと振動する。
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