第1話 第1幕:カシオ・赤トンボ・ミットナー 最後の戦い

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「暗黒時代を生きる人間に秩序を与えしは神の御業。その恩恵を預かり、生き延びながら、神に反抗する忘恩の徒どもよ!!」    ジンが僕達の罪状を歌い上げる中、その掲げた手の平では、炎の固まりが巨大化を続けている。   「不浄の魂を、今ここで清めん!!」  ジンが両手を振り下ろすと、避けようがない特大の火の嵐が、木々を瞬時に消し炭にしながらこちらに向かってくる。  カールがその炎に向かって突進し、何もない空間を激しく連打する。  その無意味に見える行為を繰り返しているカールに炎が迫る。だがその炎はカールの手前で止まる。   カールもまた神具を使う者だ。カールのガントレットは、空間を削る。あらゆる物体は削られた空間を超えることはできない。つまり、それは最強の盾となる。  カールは、あの無意味に見える連撃で、空間を削っていたのだ。  炎の波が、全てを通さない空間の欠けに遮られて、行き場失い空に昇り、数秒間空を朝のように明るくし、巨大な火柱となって雲を突き抜けていった。   「お前ら蛮族ごときが、神の御業を盗むか!!」  自分の渾身の炎を防がれたジンは激昂し、カールに襲い掛かる。とっさにカールはジンの顔を殴ると、ジンの顔は炎を散らしたかの如く飛び散り、再度集合して元に戻る。   「神の火はワシそのもの!! 今の我が身は炎そのもの!!」       
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