第1話 走る彼はあの子の使い走り

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走る僕の進行方向に邪魔するように立ち、話し掛けて来たのは校則を破ることに美学を感じ、髪の脱色に失敗して出来損ないの卵焼きみたいな色の髪をしている、とても前衛的なセンスの持ち主の先輩だった。 三人。 話し掛けて来た出来損ないの卵焼き先輩を先頭に、立ち塞がるように立っていた。 八重ちゃんはこういう“いわゆる不良”の方々には礼儀は不要と言っていたけれど、それでも相手は上級生。 最低限の敬意は払わなくてはならないと僕は思う。例えそれが地面すれすれなくらい最低限でも。 それに案外話してみればまともだったりするかもしれない。 そんな例は未だかつてないのだけれど。 何事も決めてかかるのはよろしくない。 「えっと、僕に何か用ですか?」 話し掛けて来た出来損ないの卵焼き色先輩ではなく、一番後ろに立っていたチョココロネ色をした先輩に尋ねてみる。 おそらくこの人がこの三人の中でのリーダー格だ。 「なぁに、ちょっくらお使いを頼みてぇだけだ。お前、パシリやってんだろ? そのついでに俺らの分も買って来いよ」 くちゃくちゃとガムを噛みながらチョココロネ先輩は言う。まぁ、この手の人が僕に用があると言ったらそれしかないよね。 わかってはいたけど……やれやれ。 ここで別にパシリじゃあないって言っても無駄なんだろうなぁ。例の如く。
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