第1話 走る彼はあの子の使い走り

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「へへっ、知ってんだぜぇお前、あの鬼桜のパシリなんだってなぁ? 女相手に情けねぇ奴だぜ、玉付いてのか? 玉ぁよう」 ぎゃははっと下品な声で笑う先輩方。うーん、この隙に抜き走ってしまおうか。 色々隙だらけだ。 「その腑抜けた根性を叩き直してやんぜ。そこ動くんじゃねぇぞ」 「いやーそれはちょっと……」 動かない的にしか当てられないんですか? っと聞きそうになった口を必死で抑える。 「おい、そんなことしてる場合じゃねぇだろ」 「うっせぇ! 俺はこういう軟弱な奴見てるとムカついてくんだよ!」 僕は貴方たちみたいな人を見てると他にやることないのかな、って思います。 それにしてもいつの間にか僕が殴られる展開になってるのは何故なんだろう。相変わらずこの手の人たちの思考回路は読めないものがある。 「おい腰抜け」 腑抜けから腰抜けになった。一体僕はどれだけ抜けている奴なんだろうか。 「てめぇみてぇな奴が居るから男が舐められんだ。わかってんのか? ああん?」 睨みを利かせてくるチョココロネ先輩。どうでもいいけど僕はいつから男代表になったんだ。というか舐められているのか、男。 女の子の八重ちゃんが番長になったことで肩身が狭くなった部分が少なからずあるんだろうけど、それで女の子たちが幅を利かせているなんて話は聞いたことはない。 そもそも八重ちゃんは番長を倒しただけで、番長的なことは別にしてないからなぁ。
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