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「は、ははは。死刑確定だぁ! 死ねやオラァ!」
ドコォ! 卵焼き先輩が思いっきりその拳を繰り出し、鈍い嫌な音を廊下に響き渡らせた。みるみる顔色を変えたのは僕ではなくーー先輩の方だった。
卵焼き先輩は思いっきり壁を殴っていたのだ。
そりゃあ痛い。
「ぐぁぁ! て、てめぇ! なに避けてやがるっ!」
「す、すいません! つい!」
あまりにも大振りだったので思わず避けてしまった。けど、それくらい僕のことを強く殴ろうとしたのだから、許して欲しい。
そして好機だ。
どさくさに紛れて逃げようっと。
「それじゃ、お使いでしたら頼まれている分が終わったら走りますんでー」
そう言って立ち去ろうとしたぼくだったのだがーー
「ばっか野郎! それじゃあ間に合わねぇんだよ!」
「間に……合わない?」
今まで黙っていたリーゼントマスクの先輩の一言につい反応してしまった。
一言で言うと困ったさんオーラを感じ取ってしまったのだ。それほどの危機迫る雰囲気をこの人は醸し出していた。
リーゼントマスク先輩は語り出す。
「一年のてめぇはまだ知らねぇと思うが、この学校の購買には『ふじ抹茶メロンパン』というパンが一日限定三個売られているんだが……毎週金曜日にこのメロンパンを三つとも買い占める不届きもんがいるんだ」
「へ、へぇ……」
「頼み事ってのはそいつより早く限定パンを買って来いって訳だ。分かったかノータリン」
「ノータリン……」
それなら貴方は色足りんですね、卵焼き先輩。
しかし、ふじ抹茶メロンパンと来たか……
僕は左手で抱えていた紙袋に目をやる。中には香ばしい香りを放つふじ抹茶メロンパンが三つ入っていた。
……不届き者は僕だった!
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