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このふじ抹茶メロンパンは八重ちゃんのお気に入りなので、週に一度はこうして僕が確保しているのだ。
ん、待てよ? ふじ抹茶メロンパンを追い求める三人組ってーー
「ひょっとして先輩たちが噂のふじ抹茶三人衆ですかっ!? 病弱な妹さんの為に毎日ふじ抹茶メロンパンを買ってあげているという!」
「お、おう」
ってか噂になってるのかよ……と先輩方は苦い顔をする。……が、そんなことよりもーー
なんてことだ!
ということは僕たちが入学してから、毎週金曜日は妹さんはメロンパンを食べられなくてがっかりしていたということか!
僕はなんてことをしていたんだ!
「これあげます!」
「あん? うおっ! ふじ抹茶メロンパンじゃねぇか! それも三つ!」
「ってことはてめぇが美味しいメロンパンを食べないと死ぬっていうメロンパンマン!」
「正確には美味しいメロンパンを食べさせないと死ぬ、です。そんなことよりも早くこのメロンパンを妹さんに!」
「へへっ、そういうことならこれは有難く貰っておくぜ。またよろしくな」
まるで盗っ人のようにメロンパンを学ランの中に入れて、抱えて走り出す先輩方。そしてその進行方向には一人の女子生徒が立っていた。
否、立ちはだかっていた。
あ、やばい。
「そっちはダメだ先輩方!」
「へへっ! 今更何を言っても無駄だぜ!」
「そうですね。今更何を言っても無駄です」
凍り付くような声がそう告げた。
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