第1話 走る彼はあの子の使い走り

14/22
前へ
/25ページ
次へ
「人様のメロンパンを何勝手に横取りしてるんですか?」 「あん?」 メロンパン片手に浮かれた先輩方の前に一人の小柄な女の子が立っていた。切り揃えられた前髪に、後ろはおさげで纏められていて、白いカチューシャに黒縁眼鏡。 きっちりと指定通りに制服を身に纏う……見た目だけなら立派な文学的少女がそこには居た。 ただ、その眼鏡の奥から見える眼光の鋭さが獲物を捕らえる狩猟者のソレと酷似しているので、とてと文学少女のような儚さや静謐さは感じられなかった。 獲物(メロンパン)を略奪した痴れ者を前にして殺気が漏れている。 僕の幼馴染であり、この学校の番長である鬼桜八重の登場である。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加