第1話 走る彼はあの子の使い走り

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八重ちゃんは目の前の先輩たちを一瞥して僕に問いかける。 「いつまで経っても来ないから何事かと思えば……この黄ばんだTシャツみたいな色をした頭の人たちはなんです?」 僕の例えより酷いっ! そして先輩たちを見るその目は、まるで肥溜めにたかるハエを見るような目だ! 酷い色をしてるのは卵焼き先輩だけだよ八重ちゃん! 「えーっと、ふじ抹茶同好会の皆様?」 「へぇ……思いのほか素敵な人たちですね。それにしても駆くん。どうして貴方はこういつもいつも“人を惹きつける”んですか? 正直異常なレベルだと思います」 全く、私が居ないとダメですねっと辟易するように言われる。それに関しては全くの同感である。 僕は良くも悪くも“人を惹きつけてしまう”傾向がある。悪い例が今回のような人たちだ。今回に関して言えば僕自身の認知のされ方が原因だったけど、僕は何故かよく人に絡まれる。 街中を歩けば道を尋ねられ、遊園地などに行けば写真を頼まれることもしばしば。 目に付きやすいのか、話しかけやすいのかわからないけど、一人で行動していると大抵何かしらに絡まれたり巻き込まれたりしやすい。 そして、その相手が悪い時はいつも八重ちゃんに助けて貰っている情けない僕だった。
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