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「まぁ、今更駆くんの体質についてとやかく言っても仕方ありませんし、早くお昼にしましょう。私のお腹はふじ抹茶メロンパンを求めています」
「あー……それが、その」
「ああ、遅れたことなら許してあげます。ふじ抹茶メロンパンの前にそのような怒りは無粋ですしね」
命拾いしましたね、駆くん。と不敵に微笑む八重ちゃん。それは有り難いんだけどね。
そのメロンパンは今先輩たちの手元にある訳で……
「おいコラなにシカトぶっこいて話をしてんだぁよ! 一体誰の頭が小便みてぇな色だってぇ?」
「そこまで酷くは言ってなかったですよ!?」
どのみち酷かったけれど!
卵焼き先輩はズボンに手を突っ込んだ状態で八重ちゃんに近付き、彼女を見下ろす。
「はっ、これが噂の番長様かよ。笑わせるぜ! こんなちんちくりんに締められるのは幼稚園くれぇなものじゃあねぇか?」
卵焼き先輩以下二名が再び、ギャハハっと品のない耳障りな声で笑う。しかし、次の瞬間それは唐突に途切れることとなる。
「うるさいです」
ーー私は今駆くんと話をしてるんです。っと一言。
その一言で場の空気は一変してしまった。
「ひぃっ!」
後ずさりする先輩方。おそらく眼光だけで、その声色だけで実力の差を感じ取ってしまったのだろう。
生物としての本能が八重ちゃんを恐れたのだ。
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