第1話 走る彼はあの子の使い走り

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「はぁ……ほんと、駆くんは底抜けにお人好しさんですね。いつかその優しさで痛い目を見ることにならないか心配です」 ジト目で言われる。 同じようなことを他の人にもよく言われていたりする。 八重ちゃんのパシリとして知られている僕のだけれど、何も八重ちゃんの為だけに走っている訳ではなかったりする。 と言っても、割合的に言えば八割は八重ちゃんの為に走っていることになるのだけれど、依頼されれば僕は走る。 まぁ、自発的に動くことも結構あるのだけれど、八重ちゃん的には「自ら首を突っ込みすぎです」とのことだ。 だって僕に出来ることがあるのなら、やるしかないじゃないか。 僕は八重ちゃんのように強くてもなければ、確固たる信念のもと生きている訳でもないのだから…… 「そうなりそうな時は駆けて逃げに逃げてみせるよ」 そう……僕は僕のやり方でやるしかないのだ。例えそれがかっこ悪かろうと、いわゆる男らしさではなくとも…… 八重ちゃんの隣に居られるならそれでいい。
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