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「逃げることをそんなに強く宣言されても……そもそも危険な目に合わないようにして下さい。いつも私が傍に居る訳でもないんですよ?」
「そうだね、八重ちゃん僕が居ないとコンビニにも入れないもんね」
ブンッ。
八重ちゃんの手がブレる前にに後ろに一歩下がる。……どうやら紙一重で避けられたみたいだ。
彼女の「手桜」の一撃を。
「……何故避けるんです?」
「……ああはなりたくないから」
頬に冷や汗をかきながら、横目で卵焼き先輩を見る。あ、そういえば先輩二人の存在をすっかり忘れていた。
八重ちゃんの迫力に腰が抜けて動けないみたいだし、早いところ帰してあげないと。
「駆くんが悪いんですよ。いきなり関係ない話を持ち込むから」
「それについては僕が悪かったかもしれないけど、それにしたっていきなり幼馴染を壁にめり込ませようとするのはどうかと思うよ」
長年の付き合いのおかげで、技の初動の微かな気配を見切れて避けることが出来たけど、一歩間違えればここで物語が終わってたかもしれない。
ある程度手加減してくれると踏んで、避けられる自信があったから言ったけど、今度から控えよう。
本気を出されたら冗談抜きで病院送りにされるかもしれない。
「ちゃんと手加減しました」
……うん。その手加減で壁の一部が風圧で少し凹んでいるんだからね?
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