第1話 走る彼はあの子の使い走り

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「さて、そろそろ終わらせてお昼ごはんにするとしようよ。このままだと食べる時間がなくなっちゃうよ」 「それもそうですね。そうなるとこちらの二人はそうですね……鬼桜式『お手玉回し』で手早く処理をば」 「うん、待とうか八重ちゃん。そうなるとこの卵焼き先輩を誰が保健室に運ぶのさ。このまま放置したらまた指導室行きになるよ」 「うっ……それは嫌ですね。でしたら貴方たちはこの趣味の悪い頭の人を可及的速やかに保健室まで運んで下さい。それでメロンパンのことはなかったことにしましょう」 『は、はいぃぃ!』 「それと、今後もし駆くんにちょっかいを出した時は……わかってますね? 神様や駆くんが許しても鬼桜さんが許しませんからね」 いいですね? と念を押す八重ちゃんにブンブンと首を縦に頷かせる先輩方。 そのまま脱兎の如く卵焼き先輩を抱えて走り去って行ってしまった。……またつまらぬ犠牲者を出してしまった。 僕に絡んで八重ちゃんに成敗される人たちの末路は大体いつもこんな感じになる。 けど……いくら不良と呼ばれる人と言っても、こんなトラウマになるような羽目になるのは少し可哀想だ。 僕がもう少し穏便に事を納めることが出来たらいいんだけど、なかなか難しい。
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