プロローグ 甘くロックな喫茶店にて

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「はっ、この状況でも平然としてられるのは流石だな」 鬼が笑う。 この状況でも、というのは不良少女数十名に加え、自分を前に……って意味なのだろう。そんでもって、流石というのは僕が“あの子”と繋がっていることを指しているのだろう。 ふむ、何処で間違えた。 学校が終わった辺りまではいつもの代わり映えのない平和で平凡な日常だったはずなんだけど……はて、ゲームで言うところの選択ミスを僕はどの時点でしてしまったのだろう。 何処をどう間違えたら不良の巣窟として有名な喫茶店『スイートメモリー』(開店当初と現在の心情をマスターに尋ねてみたい)で最強の不良の一角である彼女に睨まれるなんてことになるのだろうか。 まぁ、答えなんて分かりきっているのだけど。 というか一つしかない。 小さい頃に知らないおじさんについて行ってはいけないというのはよく聞くけれど、知らない女の子に親切するなとは言われたことはない。 要はその辺の認識というか先入観の差が生んだ今なのだろう。 「さて、と」 目の前の鬼は切り出した。 鋭い刃物のような瞳をギラつかせて言うのだった。 「それじゃあ鬼桜巴について色々と教えてもらおーか!」
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