第1話 走る彼はあの子の使い走り

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「はぁ、はぁ、はぁ……!」 走る。 走る走る。 僕は走っていた。 周りの景色が早送りのビデオテープのように流れていた。いや、流石にそこまでは速くはないか、どんな速度で走ってるんだ僕は。 そもそも今のご時世、テープではなくディスクが主だろう。それでも例えるなら、列車の窓の流れ行く景色と行ったところだろうか。 どちらにせよ移りゆく景色を楽しんでいる余裕はない。 旅行をしている訳でもないのだから。 自分の存在位置の移動を楽しんだり、目的地へ近付く高揚感なんてものは持ち合わせちゃあいないのである。 先程言ったようにそんな余裕はない。 僕が思うに走るという行為は基本、自己の探求か急ぐ為にある。 陸上部でもなければ、走るの大好き爽やか少年でも、健康オタクでもない僕が走る理由は後者に絞られる。 現に今も急いでいた。そして焦っている。 一秒の遅れが命取りといわんばかりに。 僕は走るという行為はあまり好きではない。 走る時はいつも生きた心地がしないことがほとんどだから。 けれど、走る。 僕こと道標駆にはそれでも走る理由がある。 ※
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