第1話 走る彼はあの子の使い走り

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「最初の番長以降、色々と尾ひれが付いている気もするけど……最後のぴょんはなんなのよ」 「八重ぴょん。最終的にはやっぴょん」 「あんた、それ本人に言ったら殺されるわよ? まぁいいわ。その中の執事ってやつだけど、それが多分彼のことね」 「彼?」 「道標くんよ。今そのことを話してたんでしょうが」 「え? 八重ぴょんの話じゃなかったっけ?」 「もういいわ。いいわもう。とにかく、あんたが聞いたなんでもやってくれる執事みたいなのは道標くんのことを指しているのよ」 「えー! 道標くんって執事だったの!?」 「早とちりしないの! だから“そんないい立場”じゃあないって何度も言ってるでしょ?」 「と言うと?」 「話を聞くだけでも道標くんは鬼桜さんのことはなんでもやってるらしいけど、それは決して執事なんてかっこいいものではなくて、もっと気の毒なものよ。 彼が今私たちの前を走り去ったのは何も鬼ごっこをしてる訳じゃあないわ。彼はーー」 道標駆は鬼桜八重のーーーー『パシリ』なのよ。
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