第1話 走る彼はあの子の使い走り

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けれど、実のところそんなに気にしてたりはしなかったりする。 周りからの見られ方がどうであろうと、僕が八重ちゃんの為に走ることは変わらない。 呼ばれているパシリの意味合いには少し凹むものがあるけどね。 僕にとってはそれくらい当たり前のことなのだ。八重ちゃんの為に走ることは。 それでも世間一般の「番長の為に走る奴=パシリ」の認識はどうも根深いらしく、訂正や否定をしてもなかなか通じないのが現実だ。 たまに僕の八重ちゃんに対する献身的(と言えるのだろうか?)な態度から一部では僕のことを執事や従者と捉える人も居るのだとか。 そんな高尚なものでは決してないと僕に自身思うのだけど、親しい後輩によると「使い走りの域を超えている」と言われているからあながち違うとも言い切れないのかもしれない。 そうなってくると幼馴染の域も超えていそうな気もするけれど、だったら幼馴染のあるべき形ってなんなんだってなる。 僕らみたいな幼馴染が居たって別にいいだろう。 だから僕はパシリと言われようが執事や従者、奴隷に家来と言われようが気にしないのである。 そんなことで僕らの関係は変わらない。
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