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「まあ、いいや。話の続きを聞かせてくれよ。それから、出来れば、その貰った、手紙とか捨ててないか? 取ってあるか?」
女は頷く。
そして、家の奥に向かい、何枚もの封筒をセルジュに渡す。
「これです。後、数十通くらいあります…………」
「それは。……なんというか、相当に、怖いな……」
渡された手紙の中を見てみる。
ひたすらに、ありとあらゆる画材を使って文字の羅列が描かれていた。マジック、絵具。パステル、クレヨン。墨汁。……種類の分からない画材。…………、どの手紙を読んでも、図形や記号的なものが、ひたすらに並んでいて、何が描かれているのか分からなかった。そもそも、文字と言えるのだろうか。
「相手は何が目的なのでしょうか?」
「うーん、そうだなあ。たとえば、貴方、恨みを買った事はないか?」
「そうですねえ、分かりません……」
「妬まれるような事とか。他にも、誰かに誤解を与えるような事とか」
女はうずくまる。
そして、何かをブツブツ、ブツブツと、呟いているみたいだった。
「わかりません、わかりません、わかりません、わかりません。私が、人に迷惑をかける? 憎まれている? 恨まれている? そんな事……、…………」
彼女はなおも、何かを呟き続けていた。
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