CASE 1 ストーカー -心を病んだ被害者- 1

5/8
前へ
/15ページ
次へ
「とにかく、盗聴器とか監視カメラが仕掛けられてないか調べてくれませんか? 怖くて、夜も眠れないんです」 「はあ。とにかくだなあ。少し顔洗ってきた方がいいんじゃねぇの?」  彼女の両眼は、目アカが溜まっていた。  ぼりぼりと、彼女は頭を掻き毟り始める。  何か、虫のようなものが、彼女の髪の間から、落ちてきた。 †  生ゴミを触ってしまったので、洗面台を借りる事にした。  ……盗聴器に監視カメラねえ、本当に、こんな場所で探すのかよ?  鏡を見ると、相変わらずな自らの姿が映し出されている。  かつて、セルジュは好きな女の身体を奪った。  何度も、彼女の精神の幻影に苛まれる。  好きだった女の姿が、鏡に映る。  セルジュは、すぐに、意識を戻す。  鏡。  何者かが、掻き毟り、所々にヒビが生えている。  洗面台の中には、黒い髪の毛がこびり付いていた。  シャワー・ルームの方を見ると、強烈な腐敗臭が漂っている。一体、何がバスタブの中には詰まっているのか…………。  ふと、脚元を眼にする。  すると、そこには奇妙なものが置かれていた。  それは洗面器だった。  沢山の血が付着している。  ……おいおい、なんなんだよ? これは。  この女が、そもそも、おかしいんじゃないのか?  ペットボトルのようなものが置かれていた。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加