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「とにかく、盗聴器とか監視カメラが仕掛けられてないか調べてくれませんか? 怖くて、夜も眠れないんです」
「はあ。とにかくだなあ。少し顔洗ってきた方がいいんじゃねぇの?」
彼女の両眼は、目アカが溜まっていた。
ぼりぼりと、彼女は頭を掻き毟り始める。
何か、虫のようなものが、彼女の髪の間から、落ちてきた。
†
生ゴミを触ってしまったので、洗面台を借りる事にした。
……盗聴器に監視カメラねえ、本当に、こんな場所で探すのかよ?
鏡を見ると、相変わらずな自らの姿が映し出されている。
かつて、セルジュは好きな女の身体を奪った。
何度も、彼女の精神の幻影に苛まれる。
好きだった女の姿が、鏡に映る。
セルジュは、すぐに、意識を戻す。
鏡。
何者かが、掻き毟り、所々にヒビが生えている。
洗面台の中には、黒い髪の毛がこびり付いていた。
シャワー・ルームの方を見ると、強烈な腐敗臭が漂っている。一体、何がバスタブの中には詰まっているのか…………。
ふと、脚元を眼にする。
すると、そこには奇妙なものが置かれていた。
それは洗面器だった。
沢山の血が付着している。
……おいおい、なんなんだよ? これは。
この女が、そもそも、おかしいんじゃないのか?
ペットボトルのようなものが置かれていた。
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