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CASE 1 ストーカー -心を病んだ被害者- 1
「言葉だけで、人間を壊せないかって思ってな」
「うん?」
「いや、言葉だけで人間が壊せるのだとしたら、それは相当に面白い事なんじゃないかなってな」
「はあ、そうか。まあ、本当にお前らしい発想だよなあ」
セルジュは、この店の主の言っている事に、適当に相槌を打つ。
店の主である、デス・ウィングはいつものように汚らしいセーターに、いつものようにくすんだ長い金髪の姿だった。
そして、相変わらず、ろくでもない事を、セルジュに言う。
セルジュは、少し首を傾げる。
「でも、それって凄く面白いアイデアだよなあ。言葉だけで、他人を壊すか。って事は、他人を殺す事も出来るのかな?」
「そうだな。他人を殺す事か」
デス・ウィングは、ふと考える。
デス・ウィングが密かに、経営している骨董屋『黒い森の魔女』の二階だった。そこは、彼女の生活空間になっており、冷蔵庫やテーブル。客室や寝室などの作りになっている。セルジュが見ると、明らかに、いつも部屋のスペースが変わっている。明らかに、外から見た店の景観と、室内の広さが合わない。一階もだ。おそらく、この店自体が異空間に繋がっているのだろう。
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