記憶

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(香里?香里…良かった 意識が戻った) 誰かが先生を呼ぶ 何やら私を触ってる 目の動きなのか… (香里分かる?僕だよ 祐也だよ…) (誰?) (………先生) (多分一時的な記憶喪失かも知れません) (記憶喪失って 治りますよね?先生) 祐也って人が泣いていた その後 病室には数人入ってくる (香里 お母さんよ…分かるよね?) (お母さん…) 何故か涙が出てくる (ほら お父さんも居るわよ ) (お父さん お母さん…) 私は子供みたいに泣いていた (香里は一週間眠っていたのよ 本当意識戻って良かった ほら祐也さん あなたの旦那様) (祐也?旦那様…) (今日はこれくらいで 徐々に思い出すでしょう) (ご家族に話がありますので こちらに) ガランとした部屋に一人残された私…管に繋がれてる いったい何があったんだろ もしかして部活で?違う さっき旦那様 祐也とか言ってたし 私は何歳なんだろ…昔の事を思いだしていた (分からない 分からない 分からない) 慌てて看護師さんがやってきた 再び眠ったのか 起きたらさっきの祐也って人が私の傍にいた (香里?目覚めた?) (すみません ありがとうございます…) 祐也って人が泣いてる その時祐也がスマホを私に見せた (これ 香里だよ 覚えてる?海に行った時僕が隠れて写したの) (海…う…み!私?) (そう香里 帰りにお好み焼き食べたよね?美味しいって言いながら) (………) その夜面会ギリギリな時間まで祐也さんは居てくれ 昔の話をしてくれた 数日後管は外され 手足は自由に動かせるはずだが 動かなかった それから暫くしてリハビリが始まった 記憶は曖昧なまま ただ優しい祐也さんが私の夫だと回りが言うから そうかなって思うようになった 入院一ヶ月後 祐也さんがおばあちゃんを連れてやってきた
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