記憶

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(香里ちゃん どお?) (香里 おばあちゃん 覚えてる?) 微かに蘇る記憶 (香里ちゃんお散歩行こうか? 祐也車イス借りてきて) (あ!うん) (さ!祐也 香里ちゃんを車イスに) (香里 僕の首に腕を回して 大丈夫?そう あれ?前より力強くなってるよ) 私を乗せた車イスを祐也が押した おばあちゃんの徒歩に合わせ 裏庭へと向かった (香里ちゃんね バスガイドだったのよ みんなから愛されてね ほら前に私に歌ってくれたの覚えてるかな…) そう言っておばあちゃんは唄いだした 優しい声でゆっくりと… あ…何か (おばあちゃん…うぅ ) 嗚咽で声にならない私 (香里ちゃん ゆっくりで良いのよ そんな急いで思い出す事ない 今度は私が香里ちゃんを助ける番だからね ほらこうして歌も思い出した ね~立派じゃない) (ありがとう おばあちゃん うぅヒクッ) (ヨシヨシ 良い子 良い子) 少しずつではあるが 記憶は戻ってきてた ただ結婚した記憶や祐也さんの家族が曖昧であった リハビリを繰り返し どうにか歩けるまで回復していった 退院したら私の実家へと話もあったが 自分を思い出す為にはマンションか 祐也さんの実家が良いと私が言った 義母さんも賛成してくれ 私が面倒みますと言ってくれた 退院の日 祐也さんと実家のドアを開いた (ただいま…)
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