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(おかえりなさい 香里さん 座って疲れてない?)
(すみません 大丈夫です)
(今お茶入れるわね)
(お茶?…美味しい紅茶…)
(あ!紅茶が良い?)
(昔…紅茶を)
(あ!そうそう そうだったわね 紅茶淹れましょうね)
(この御線香の匂い何ですか?)
(………)
(香里 立てる?ちょっとこっちの部屋に)
祐也さんに支えられ リビングの隣にある部屋に案内された
私は茫然と立ち尽くした……
(これは?…)
仏壇の前に座り込んだ
(ワ~ッ 私が 私が……ごめんなさい)
(香里しっかりして 香里のせいじゃないから)
祐也さんが私を抱き締めた
記憶が一気に甦ってきた
(そうよ 香里さんは何も悪くないの 私こそあの時香里さんに頼まなかったらと こんなに怪我までさせて 本当にごめんなさい)
義母さんが頭を下げた
(私の運転が……スピードを ワ~ッ)
(違うのよ 相手のバンドルミスなの 自分を攻めないで)
義母の話によると 私の意識が戻ったのと同時に義父は逝ったと聞いた
意識不明だったが 最後に義父が私の名前を呼んだらしい きっと私を心配してたのだろうと
そう言えば 意識が戻らない私は義父の夢を見ていた
元気に前を歩いてる 私は後ろをトボトボと歩いていた
義父が急に立ち止まり 香里は向こうに行けと言った 義父さんは?と言うと 僕はこっち……じゃな!祐也と仲良くするんだぞ!と言って消えた
今思い出した
(ね…これお父さんの携帯なんだけど四十九日も過ぎたし 解約しなくちゃね)
(それがいいよ)
(中見てみょうかしら?)
(止めとけ ろくな事ないから)
(そうよね お父さんには 散々な目に遭わされたからね…)
二人の会話が私に向けてのように聞こえた
そう言えば 車がぶつかる瞬間 確かに義父は私の体を支えた 危ないっと言って…
自分が盾になってくれたのかも知れない 義母さんが言ってた シートベルトが外れていたと
私は仏壇に手を合わせた……
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