第1章 鬼王神社の宝玉

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 今夜泊まるのは体育館、布団をずらりと並べて、26名のクラスメイトに加えて担当の先生3名と一緒に寝るのだ。  みんな各自で歯を磨いて体育館に集合。  その中にいるのが、神馬さくら、そう、神馬権三の孫である。  友だちの人種は多様だ、フイリピン、中国、アメリカ、ブラジル…クラスメイトのおよそ半数が、純粋な日本人ではなかったが、子どもたちには何の問題もない。その中でも色の黒いアメリカ人のボブくんとはさくらは一番の仲良しだった。  ──それはちょっとした用事で、先生たちが体育館からいなくなった時に始まった。  ボブくんが最初に枕をなげた。  それがさくらに当たったのだ。 「誰? ボブがやったの? 」  ボブはにやりと笑うと、その寝巻きから見えてる黒い腕を、ターンテーブルをこするように動かして、ラップ調に言った。 「♪ノーノー、さくらが、さくらが、隙だらけ、おっ、隙だらけ! 」 「なにおー」さくらは怒ると、枕を投げ返したが、コントロールが狂って中国人のふーちゃんの体に当たった。 「きゃー」ふーちゃんは、枕を取り上げると、投げ返すがコントロールが狂って韓国人のいーくんに当たった。 「いてー、おおおお!」いーくんの雄叫びが全員に伝染すると、 『おおおおおー!』枕があらゆる方向に飛び交った。  人種など関係ない、その場にいた子どもたちは枕投げに熱中し始めた。  きゃっきゃ言って大騒ぎだ。
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