第1章 鬼王神社の宝玉

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 体育館の中は、それはそれは、盛り上がっていた。枕が縦横無尽に宙を舞い、右へ左へ子どもが駆け回る。  きゃーきゃー叫び声が響きわたり、敷布団もタオルケットもぐちゃぐちゃになった。  そこに担任のみか先生が入ってくる。 「はいはい、みなさんもう終わり! 」  ──子どもたちの動きが止まった。  さくらも枕だけでは飽き足らずに、丸めたタオルケットを持ち上げていたが、動きを止めた。  と、飛んでいた一個の枕が、みか先生の顔にあたった。  ぼふ!  きゃー! 再び騒々しくなる体育館。  しかし、みか先生も負けてはいない、もう10年も幼稚園の先生をやっているのだ。 「うー…もう9時です。おとなしくねましょうね、じゃないと鬼が君たちを連れ去りにきますよ、怖ー」 『……』一斉に静かになる子どもたち。 「鬼王神社の鬼たちが、悪い子を連れていっちゃうんだからなぁ」おもいきり怖がらせるように叫んだ。 『…はーい』  子どもたちは現金だ、みんないい子になる。 「じゃあ枕と寝具を元に戻してください」
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