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体育館の中は、それはそれは、盛り上がっていた。枕が縦横無尽に宙を舞い、右へ左へ子どもが駆け回る。
きゃーきゃー叫び声が響きわたり、敷布団もタオルケットもぐちゃぐちゃになった。
そこに担任のみか先生が入ってくる。
「はいはい、みなさんもう終わり! 」
──子どもたちの動きが止まった。
さくらも枕だけでは飽き足らずに、丸めたタオルケットを持ち上げていたが、動きを止めた。
と、飛んでいた一個の枕が、みか先生の顔にあたった。
ぼふ!
きゃー! 再び騒々しくなる体育館。
しかし、みか先生も負けてはいない、もう10年も幼稚園の先生をやっているのだ。
「うー…もう9時です。おとなしくねましょうね、じゃないと鬼が君たちを連れ去りにきますよ、怖ー」
『……』一斉に静かになる子どもたち。
「鬼王神社の鬼たちが、悪い子を連れていっちゃうんだからなぁ」おもいきり怖がらせるように叫んだ。
『…はーい』
子どもたちは現金だ、みんないい子になる。
「じゃあ枕と寝具を元に戻してください」
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