第四章 理由

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「こんな風に……」 「そこ……ダメ……」 「お前がココ弱いこと……あいつは知ってんの?」 「知るはずっ――な……い……」 「なぁ、馨……」  雄大さんが私を見下ろした。指の動きは止まらない。 「んんっ……」  感じている顔を見られるのが恥ずかしくて、目をそむける。指が止まった。 「お前もう……俺のモンな」 「え……?」 「お前の全部、俺のモンだからな――」  言葉の意味も分からないまま、激しく動き始めた指で絶頂に導かれた。  何度も。  何度も。  人間は欲深い。  与えられ続ける快感に神経は麻痺し、更なる快感が欲しくなる。  もっと気持ち良くなりたい……。  もっと甘やかされたい……。  もっと愛されたい……。 「もっと……」  恥ずかしさも忘れて、欲求が言葉になる。 「もっと…………」  雄大さんが優しく微笑む。
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