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専務と秘書の一日目は、社内の案内と各部署への挨拶、専務職の具体的な仕事内容の説明、社の規律や定例会議の日程などの説明、で終わった。
二日目は、取引先への挨拶回り。
三日目は、主要株主への挨拶回り。
四日目は、都合が合わなかった取引先と株主への挨拶回り。
五日目は重役会議と、会長と社長とのランチミーティングに、親睦会と称した重役たちとの飲み会。
覚えることの多さに、馨はぐったりしていたが、俺は一日中堂々と彼女と一緒にいられて満足だった。
素直に俺を頼ってくれるのも、嬉しかった。
毎朝七時に馨をマンションまで迎えに行き、朝飯を食いながら一日の予定の確認をした。仕事が終わればマンションまで送っていく。
約束通り、俺が馨に触れることはなかったが、日に日に目が合う回数が増えていることで、彼女が根負けするのに時間はかからないと、確信していた。
馨の新しい住まいは、立波リゾート本社ビルから車で十分ほどの場所にある、高級分譲マンションで、俺のマンションまで車で十五分の距離。
馨が住んでいると知って、マンションの間取り図を見た。二十畳のリビングに、十五畳の寝室には三畳のウォークインクローゼットがついている。十二畳の部屋が二つと、六畳のバスルーム。
馨一人で暮らすには広すぎる。
高津から、馨が立波リゾートを継ぐ気だと聞いた時は、驚いた。同時に、納得も出来た。
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