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教師たちにもそのことは話題で「別に親がいいならいいんだけどね」と言っていたが「この先ずっとああやって面倒をみるつもりなのだろうか」とおせっかいな感情が見え隠れしていた。
もしどうしても送迎ができない日は学校を出てから必ず一度連絡を入れ、駅についてからも連絡を入れ、家についてからも連絡をいれることをアンナは指示されていた。
他にも年ごろであるから自分で私服くらい選びたいものだがすべて母親が用意し、下着すらも用意してくれるのだと聞いた。お小遣いも決まっておらず欲しければ欲しい分の金額をくれたと聞いたし、バイトは「どんな人間が働いているかわからないから」とさせてもらえないと言っていた。
その他もろもろ通常では考えられないほどの決まりと思いやりというには暴力に近いものをアンナに強いていたようだ。
でもそれをアンナは文句を言うことなく当たり前のようにむしろ愛情だと思って受け入れ生活していた。
そうだそういうところも自分は苦手だったのだ。平均とはかなりかけ離れた家族を平然と受け止めるアンナが。
マキエは異様な親子関係を思い出し、泊めれば自分にまで何か言ってくるのではないかと背筋の毛が立つ。
「大丈夫だよ。だってもういないもの。母さんと父さん」
チューハイを飲むアンナは平然と言った。
マキエは「え」とおつまみを取ろうとしていた手を止めて、アンナを見つめた。
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