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冷たいと言われたり夢がないと言われたりもしたが結婚をしても円満に生活し死んでいく夫婦はいくらもいない。血がつながった子供すら殺してしまう世の中で何を夢見ろというのだ。
結婚や子供を持つことを美徳とする人間に唾を吐きかけるように心の中で言ってマキエはこれからどうやって飢え死にしないで生きていけるかを少しずつ考え始めている時だった。
アンナが来たのは。
お互いに正反対の生き方をしている存在だ。
アンナは高校卒業後地元から通える短期女子大学に通在学中にい資格をいくつか取ったと同窓会の時に聞いている。
資格といっても実際に働かなければ身につかない資格ばかりで、もともと就職する気がほぼないアンナには使いこなせないものだった。
就職活動をしているさなかに今の旦那と出会い付き合い始め、就職活動がうまくいかないところでプロポーズされたのだと、アンナ自身から聞いた。
「運がよかったわ。あんまり働きたくなかったし」
大学卒業間近に周りの友達に結婚を報告したアンナは、就職活動で精神を削らせている友達から多くの反感を買い、軽く仲間外れにされたらしい。
この事はアンナと同じ短大に行った子から聞いた。
いい意味でアンナは鈍感だった。自分が感じたままに生きている姿はだれでも心の底では憧れ、同時に「ああはなるまい」と嫌悪していた。
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