安全地帯はどこ①

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 ちょっと自分勝手なところは変わっていないんだなぁ。高校時代のことをふと思い出した。  アンナはクラスの中心人物ではなかったものの平均よりかわいい容姿をしていたこともあって、ちょっと天然なキャラも相まってやや注目されている存在ではあった。  頭がいいわけではなく発言力があったわけでもないのだが妙にオーラというものがあって、敵視する女子もいなかった。女子特有の派閥を乗り越えるような存在で、みんなそれぞれがアンナのことを好いていた。  だが少し困った子でもあった。  甘え上手だし男子を惑わすようなところもあってひやっとさせることも多々あった。今思い出せば子供が何いきがってんだかということばかりだったが、あの頃は真剣で世界のすべてだった。  親友というには仲良し度が足りないがマキエともよく話をしていたので社会人になった今でも仲は良いほうだ。  ただ今はマキエ自身が原因不明の不機嫌に巻き込まれているのでアンナに付き合うのは体力がいることなのだ。  「何?旦那と喧嘩でもしたの?それで家出でもしてきたの?」  「今日泊めてくれたら話すよ」  なんだその切り替えしは。どういう立場でものを言っているのかわかっていないのだろうか。     
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