5人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「 ドイツ帝国が死んだからと言って、
それと共に沈む必要は無いのだ。
諸君は、未来を生きるのだ。
今まで、ドイツ帝国のために戦ってきた
力を、自分達のために、使うのだ。
……。では、最後の敬礼を、行おう。
”11s Norutoranto……HEIL!! 」
『……HEIL!!』
俺達はそう叫び、お互いに抱擁を交わし、最後の作戦を決行するために向かうのだ。
……そう。大尉の言う通りだ。
俺達は、まだ、生きている。
______
1945年5月1日 時刻不明 ベルリン フリードリヒ通り
第11SS義勇装甲擲弾兵師団”ノルトラント”所属
アルフレット・ベークマン上等兵
「くそが!!モーンケの野郎はどこだ!!第1師団の連中もやられてるぞ、おい!!」
「十時の方向、赤軍だぁ!!身を伏せろぉ!!」
「フランツの車輌がやられた!!」
鳴り響く砲声、銃声、仲間達の断末魔。
何かが爆発するような音がしたので、そちらに目を向けると、ベレズニャーク伍長の指揮していた車輌が轟々と燃えている。
それを躱し、師団最後の車輌となったSd Kfz 250型の装甲車は駆ける。
しかし赤軍がそれを逃す筈もなく、砲弾が、銃弾が、次々と降り注ぐ。
「ラグナル!!そのまま突っ走れ!!」
大尉が運転手であるヨハンソン伍長にそう言うと、自らは小銃を手に、指揮を取る。
「っ!!大尉!!前方より敵影!!ひだ……」
ヨハンソン伍長がそう声を上げた瞬間、俺達の乗る車輌に砲弾が炸裂した。
俺は砲弾の衝撃で、車輌から瓦礫の山となった民家へと放り出される。
何とか四肢は無事だが、肋骨やら何やらが折れているのを感じ取った。
酷い耳鳴りの中、車輌へと目を向ける。
「う、うおおおおおおっ!!あが……」
「や、やめろぉぉぉ!!降伏だ!!降伏……」
砲弾の直撃から何とか生き延びた仲間達が、次々と射殺されていた。
最初のコメントを投稿しよう!