うたかたの夢 過去と現在《いま》

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    「 ドイツ帝国が死んだからと言って、      それと共に沈む必要は無いのだ。      諸君は、未来を生きるのだ。      今まで、ドイツ帝国のために戦ってきた      力を、自分達のために、使うのだ。      ……。では、最後の敬礼を、行おう。      ”11s Norutoranto……HEIL!! 」     『……HEIL!!』  俺達はそう叫び、お互いに抱擁を交わし、最後の作戦を決行するために向かうのだ。  ……そう。大尉の言う通りだ。  俺達は、まだ、生きている。  ______  1945年5月1日 時刻不明 ベルリン フリードリヒ通り  第11SS義勇装甲擲弾兵師団”ノルトラント”所属  アルフレット・ベークマン上等兵      「くそが!!モーンケの野郎はどこだ!!第1師団の連中もやられてるぞ、おい!!」  「十時の方向、赤軍だぁ!!身を伏せろぉ!!」  「フランツの車輌がやられた!!」  鳴り響く砲声、銃声、仲間達の断末魔。  何かが爆発するような音がしたので、そちらに目を向けると、ベレズニャーク伍長の指揮していた車輌が轟々と燃えている。  それを躱し、師団最後の車輌となったSd Kfz 250型の装甲車は駆ける。  しかし赤軍がそれを逃す筈もなく、砲弾が、銃弾が、次々と降り注ぐ。  「ラグナル!!そのまま突っ走れ!!」  大尉が運転手であるヨハンソン伍長にそう言うと、自らは小銃を手に、指揮を取る。  「っ!!大尉!!前方より敵影!!ひだ……」  ヨハンソン伍長がそう声を上げた瞬間、俺達の乗る車輌に砲弾が炸裂した。  俺は砲弾の衝撃で、車輌から瓦礫の山となった民家へと放り出される。  何とか四肢は無事だが、肋骨やら何やらが折れているのを感じ取った。  酷い耳鳴りの中、車輌へと目を向ける。  「う、うおおおおおおっ!!あが……」  「や、やめろぉぉぉ!!降伏だ!!降伏……」  砲弾の直撃から何とか生き延びた仲間達が、次々と射殺されていた。
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