1 再会

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◇ 「おい!おいって!」 莉緒は隣の席の男子から小声で呼ばれていることに気がついた。 「何?授業中!」 小声で返事する。 「教科書見して。忘れた。 先生ー!教科書忘れましたー。北山さんに見せてもらってもいいすかー?」 「おー。見せてもらえー。次から忘れないようになー。」 「はい。すんませーん。」 「じゃ北山さんよろしく。」 机をくっつけてくる。この人はたしか、瀬名川陽(せながわはる)くん?イケメンで野球部でいつも女の子から追いかけられてる、莉緒とはまったく接点のない人物だ。 莉緒は仕方なく、くっつけた机の真ん中に教科書を置いた。 背が高く、ガッチリしたスポーツマン体型の陽の肩が時々かすかに触れるとドキッとしてしまう。 「北山さん、吹奏楽入んねーの?」 コソッと陽はささやいた。 「えっ?なんでそんなこと知って…?」 動揺した莉緒はあやうくシャーペンを落としそうになって、陽がナイスキャッチした。 「セーフ! 俺のこと覚えてねーか。ん~いいよ。別に。 俺はクラス入ってすぐわかったけどな。」 覚えてないって? 前に会ったことある? 莉緒はちらっと陽の顔を見た。
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