1 再会

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わかんない…。えっ?いつ会ったの? 「思い出せないって顔してんなー。結構傷つくんだけどー。」 1番後ろの席をいいことに陽はコソコソしゃべり続けた。 「川原でいつもやってたじゃん。ほら、ラッパみたいなやつ…。」 …えっ?あのときの男子? またシャーペンを落としそうになった。 「えっ?全然わかんないよ。髪伸びてるし、背高くなってるし、まるで別人…」 驚いたせいか声がちょっと高くなった。 「おい!うしろーうるさいぞー!」 「はーい。俺ちょっとわかんないとこ聞いてましたー。以後気をつけまーす。」 間髪入れずに陽が答えて、すかさず、莉緒のノートを引っ張って書き出した。 『なんですいそうがくはいんないの?おまえうまいじゃん。』 『中学のときに吹奏楽でいろいろあって…以後トラウマに…』 『いつもかえり3Fおんがくしつみあげてるじゃん?はいれよ。おまえならできる!』 莉緒は思わず顔を上げて陽の顔を見た。 そこには、まっすぐに莉緒を見る瞳があった。 あの時と同じ。 なんで、そんなに私の背中を押してくれるの? 『がんばってみる…』 ノートに書いたところで、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。 陽は授業が終わると小さい声で 「がんばれよ。」 と言って肩をぽんとたたき、すぐ部活のために教室を出て行った。
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