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なんとなく寂しくなった私は、携帯から動画サイトを開き、適当な音楽を流しました。確かあれは、昨今はやっていた外人男性の曲だったように思います。横文字だったので詳しくはわかりませんでしたが、耳障りのいい声をしている人だとの印象は受けました。
その方の楽曲のせいでしょう。恐怖に震えていた私の心も少し落ち着きを取り戻して、心地よく彼の楽曲に耳を傾けることができました。
不思議なことが起きたのは、彼の曲が終わり、つかの間の静寂が訪れた時でした。丁度携帯をフロントガラスの下において曲を再生していたのですが、そちらの方とは別なところから、なにやら音が聞こえたのです。
最初は携帯から聞こえるものかと思って携帯に耳を近づけて見たのですが、どうやらそうではない。では、一体どこから音が聞こえるのかと、私は耳をすませました。ようやくわかったのは、どうやらその音は私の背後から聞こえているようでした。
一体なんの音か。私はその正体を確かめるべく顔を背後へとむけました。けれど、そこにはがらんとした後部座席があるだけで、音の出るようなものはなに一つありません。もちろんそれは私だって知っていることでした。でも、その音は確かに私の後ろから聞こえているんです。
もう一度、今度はよくよく耳をすませて音の正体を確かめました。そして、音の正体に気が付いた時、背筋が凍えました。
「う……うぅ……う……」
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