プロローグ 出会い

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顔は…そこそこ可愛い。 ただ、彼女とは勤務するフロアが違う。 西町支店は行職員数50名を超える市街地中規模支店で、三階建ての自社ビルを構える。 一階のフロア全体が預金窓口で、融資課と営業課、支店長席は二階にある。 “彼女とは、ほぼ顔を合わせることがないな” と高橋は少し残念な気持ちになる。 彼女の挨拶が終わり、3人目は、パートの女性だった。 帝産銀行のパート社員は、外部の派遣会社からの派遣と、元行員を中心とした再雇用の2種類ある。 彼女もそのどちらかなのだが、支店長の紹介を聞いてなかったので、分からない。 “まあ、どっちにしろ俺には関係ないか…” そうは思ったが、彼女はパート社員だから、預金窓口課なんだろうな…と思い直す。 自分の部下になるかもしれないのだ。 彼女は木田優子(きだゆうこ)と名乗った。 顔は、若くはないが、切れ長の目をした美人ではある。10年前なら、引く手数多だったのだろう。 彼女は既婚で、帝産銀行のOGで、彼女と新人時代の同期の旦那さんがいて、旦那さんも現役の帝産銀行行員らしい。 子供は小学一年生の女の子が一人で、旦那さんは単身赴任中。そして彼女の年齢は「永遠の25歳」らしい。     
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