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この悲劇が始まったのは、約一週間前のこと。
その日は僕と彼女でいわゆるデート、というものをしていたんだ。
淡い水色のブラウスに白い膝丈のスカートが長い黒髪の彼女によく似合っていたのを覚えている。待ち合わせ場所に笑顔で駆け寄って来て……僕は思わず口元が緩んでしまったほどだ。
常ににこにこと笑顔を振りまいている彼女はとても可愛くて。僕は君の笑顔に何度救われたことだろう。
学校で一人だった僕に、優しく話しかけてくれて……いつだって僕を助けてくれた、明るくて優しい人。
この時の僕はあんな悲劇が待っているだなんて思いもせずに幸せな日々が続くと信じていたんだ。
二人でたわいのない話をしながら道を歩いていた時……突然、上から工事用の足場が落ちてきた。それは見事に僕と彼女を直撃した。
重さに耐えきれず、僕らは足場の下敷きになり地面へと倒れる。
その時に僕は死んだものかと思ったのだけれど、どうやらその先に待っていたのはただ死ぬよりもタチの悪いものだった。
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