君は生きて

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 これで冒頭に戻る。  僕の体にはナイフが刺さり目の前には泣いている君がいる。  不思議と痛みは感じなかった。僕は君をそっと抱き寄せる。安心させるように、今までの感謝を込めて。君に伝わるように。  伝えたいことはたくさんある。けれど……その全てを伝えることはできないだろうから。  ああ、一つだけ口にして言わなければいけない言葉があったんだ。  恥ずかしくて、あの日以来口にしていない言葉を言わなくちゃ。  君に言えるのも、これっきりだろうから。 「……好きだよ」  最期にその言葉を呟く。徐々に僕の体は薄く……闇に溶けるように無くなっていく。  最期に見た、君の顔は泣き笑いの表情。  僕にはもう聞くことができないけれど……さっき僕が口にしたのと同じ四文字をその唇から紡ぐのが見えた。  僕はそれを見て微笑みかける。目から涙が溢れそうになるのを必死にこらえて。  お別れの時は必ず笑顔で。これは二人の約束だから。  ――ああ、君に出会えて本当に……よかった。  さようなら、僕の……大好きな人。
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