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「なんで、笑うんですか!!こっちは至って真剣です!!」
そう力説するとたまらないと言うようにお腹を抱えて二人は大笑い…。
ひとしきり笑ったあと、
「それ、実はサンプルだから、お金は要らないわ。とりあえず、着てみてくれる?あなただって、打ち合わせの時間に間に合わないと困るでしょ?」
…あ、そうでした。
すっかり忘れていたわ、打ち合わせ。
ふわふわ店員さんに連れられて試着室で、大急ぎで渡されたスーツに着替えると、まるで初めから私に作ってくれたかのようなぴったり感。
「どうかしら?」
試着室の外で先程の美女が言う。
試着室から出ると二人は満足気。
「すごい、ぴったりね」
「本当に丁度良くて良かったわ」
「…ありがとうございます。本当にいいんですか?」
おずおずと言うと、二人とも、頷いて
「女に二言はないのよ」
「さあ、行きましょう?打ち合わせに」
とそれぞれに言う。
そうして、ふわふわ店員さんに手をひかれ、お店の裏口から出る。
美女も裏口まで着いてきて、手を振ってくれた。
「ありがとうございます」
もう1度頭を下げて、ふわふわ店員さんと外に出ると、ふわふわ店員さんは車の助手席のドアを開けた。
「さあ、乗って。雨の日シンデレラ」
私はさすがに遠慮したが、ふわふわ店員さんに押し込まれ、助手席に座る。
ふわふわ店員さんに打ち合わせに行く会社まで送って行ってくれた。
そうして、私は打ち合わせ時間にしっかり間に合った。
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