裏木戸

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あずまやで本読んでたら 裏木戸を開けて ちいさな女の子が庭に入ってきた 二歳くらい? 親御さんは? 目があう にこっと笑われた お母さんは? ときこうと思ったとき ちっちゃいちゃんの方からわたしに話しかけてきた 気にしなくていいよ え? おにわでつまづいたの わざとじゃないし ちょびっとえんがなかっただけ わたしはこうしてうまれてきたよ このこのママにかわいがられて 泣いたりわらったりしてるよ だからもう 心せめないで いつかまた会えるからね 親子か きょうだいか ともだちがわからないけどね あなたは… よびかけようとしたところへ ななちゃーん だめよかってに人様のおうち入っちゃ 若いきれいなお母さんが来た あの すみません うちの子が… うちの子が… ああ言いたかったそのことば… ななちゃんは… お子さんは… 何も知らないお母さんは ちっちゃいちゃんの手を引いて出てゆく ちっちゃいちゃんはすでにあの ものしずかな語り口を失って 子供らしい表情で手を引かれてゆく 私の… 言うまいと ロを閉じただ見送った 赦されたことだけかみしめながら
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