誰も知らない英雄

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今思えば、あれが転機だった。 魔王を倒した後、国へ戻り国王に報告している最中頻繁に感じた視界の揺らぎ。 それが、魔力が有りすぎた俺を殺すために魔力封じの鎖を巻き付けていたせいだということに気付いたのは、宮殿の最も西にある塔に幽閉された時だった。 そういえば、あの後仲間達はどうなったんだろう。 国を、世界を救った英雄として称賛されて地位と名誉を、名声を博したのだろうか。それとも、俺と同じように強すぎるが故に新たな脅威とみなされて処刑されたんだろうか。 どちらにせよ、俺が死ぬ事は既に確定している。 あぁ、教会の鐘が刻を告げている。 処刑の時間だ。 俺が死ぬ理由。 それは、 力を持ちすぎたが故に、新たな脅威になりかねないから。 過ぎた力は身を亡ぼすとは、まさにこの事だな。 願わくは、次の英雄が人々の脅威にならんことを。 来世こそは、ーーーーーーー。
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