第三話 しがみつく男

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第三話 しがみつく男

これは21歳か22歳の夏の話です。 当時つき合っていた彼女と、その友人と、西宮スタジアムで行われたTUBEのライブに出かけた帰り道。 彼女と彼女の友人の家が、兵庫県の北のほうだったので、ライブ終わってごはんして、西宮から2時間ほどかけてのんびりと送って行ってる時でした。 俺の当時の車は、TOYOTAのマスターエースサーフ。 室内もかなりゆとりのある車で、長期間の旅にもへこたれないいい車でした。 兵庫県北部の丹波市というところにある、遠坂峠に差し掛かった時、突然軽い衝撃と共に、車から異音がしました。 ゴゴゴゴ ガガガガ なんだか乾いた異音。車が軽く揺さぶられるような衝撃。 でも、朝からエンジンは抜群に調子がよく、遠坂峠くらいの勾配じゃぁ問題もなくスイスイ走る車でした。 なんだろう? 一応スピードを緩め、路肩に停めて足回りやらエンジンルームやらをチェックしてみましたが、何ら異常無し。 彼女たちも楽しそうにライブの話で盛り上がっていたので、水を差さないように黙ってまた走り出しました。 少し走ると、遠坂峠の登り口に位置する、「熊野神社」の看板を越えた辺りで、また衝撃と異音がしました。 今度は明らかに大きな揺れ。     
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