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横に大きく揺さぶられたので、彼女たちも短く悲鳴をあげました。
「何?今の?どうしたん?」
彼女が助手席から不安そうに俺の顔を見たので、俺も大丈夫って言おうと、彼女のほうをちらっと向いた時でした。
助手席側のサイドミラーに何かが見えました。
何か動くものが写ってる。
途端に背筋に鳥肌。
全身の毛が逆立った。
「はぁ?!」
俺は何だか判らないまま、身体に来てるいつもの兆候に確信して、左手の数珠を手解きました。
停まってはいけない。
絶対に停まってはダメだ!!
身体中がそう言ってました。
必死に峠をずっと走りながら、俺の様子に不安そうな彼女と友人に、少し笑いながら声だけかけました。
「今からちょっとわけわからんこと唱えるけど、お前ら目を瞑って絶対に開けるな。揺さぶられても絶対に外だけは見たらいけんで?? 分かった??」
彼女たちは泣きそうな声で返事をしてから、うつ向いてぎゅぅっと目を閉じた。
それを確認してから、もう一度ミラーに目をやると、
身体?が千切れまくってグシャグシャでよくわからないけど、確かに男のひとであろう物体が、車の横に貼り付いていました。
鮮やかな真っ赤。血まみれなのはよく分かりました。
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