第二話 かかし

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その言葉に、みんなミツヒコを見ると、ミツヒコはみかんを手にケラケラ笑っていた。 本当に、ケラケラと。 顔がまったく笑ってない。 それどころか、目は閉じたまま階段を降りて、俺らの後ろまで歩いて来ていた。 声だけは、笑いながら。 瞬間。 俺の全身の毛が一気に逆立った。 全身に鳥肌。 これはヤバい! 俺は直感的にミツヒコから後ずさって、いつも左手に巻いてある数珠を手にした。 そしてみんなを下がらせて、笑い続けるミツヒコを正面に、日蓮宗の十二番。成仏のお経をあげた。 刹那。 ミツヒコが笑いを止めて泣き叫び始めた。 酷い声。 今でも耳を離れない、この世の者から発せられたとは思えない甲高い声。 短い十二番を終えて、御題目を何度も何度も何度も唱えながら、泣き叫ぶミツヒコの肩を数珠で叩くと、叫ぶのがぴたりと止まり、地面に倒れた。 それら一連の出来事を、みんな遠巻きに見ていたので、すぐにアキヒロを呼んで、ミツヒコを抱えてみんなで公民館に連れ帰った。 公民館に着いて落ち着いたのも束の間。 アキヒロが 「ナオキは?ナオキが居らん??」 ナオキは寺の境内に隠れて脅かしてたはずだった。 ミツヒコが降りて来ても、ナオキはまだだ? 急いでみんなで固まって、境内に向かって長い長い階段を登りきると、 寺の境内の真ん中にナオキが居た。     
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