8.

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「休めた原因、か。プライベートの充実は大事だと思いますよ」 「うーん、まぁ……」  充実、っていうのだろうか。まるで押し掛け女房よろしく甲斐甲斐しい柴谷が脳裏をよぎる。  あいつ、ご飯作るとき可愛らしいクマのエプロンしてたな。でっかい図体に妙に似合ってて、面白くて。  変なことを思い出してふっと頬を緩ませると、山際も柔らかく笑う。 「詮索はしません。尊敬する先輩が元気だと、僕も嬉しいですし」 「ありがとう」  まともで優しい後輩の言葉に、私は少し照れながら微笑んだ。と、 「んオッホァンッ!!」  わざとらしい咳払いがミーティングルームに響いた。
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