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「休めた原因、か。プライベートの充実は大事だと思いますよ」
「うーん、まぁ……」
充実、っていうのだろうか。まるで押し掛け女房よろしく甲斐甲斐しい柴谷が脳裏をよぎる。
あいつ、ご飯作るとき可愛らしいクマのエプロンしてたな。でっかい図体に妙に似合ってて、面白くて。
変なことを思い出してふっと頬を緩ませると、山際も柔らかく笑う。
「詮索はしません。尊敬する先輩が元気だと、僕も嬉しいですし」
「ありがとう」
まともで優しい後輩の言葉に、私は少し照れながら微笑んだ。と、
「んオッホァンッ!!」
わざとらしい咳払いがミーティングルームに響いた。
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