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驚いて振り向けば、扉を開けこちらを睨む柴谷がいる。
手に缶ジュースを2本抱えた状態で、不満げに唇を尖らせていた。
「わ、なんですか……ビックリした……」
「柴谷さん……会議中なんですけど」
はた迷惑な登場に、私たちは揃って不機嫌な声を上げる。
それが心外だったのか、ちょっと驚いた顔をしながらツカツカとこちらへ歩み寄ってきた。
「会議中? 俺には楽しく雑談してるようにしか聞こえなかったけど」
「聞き耳たててたんですか」
「違う、聞こえちゃったの!」
怒鳴りながら、座っている私と山際の間に無理やり割って入る。そしてこちらに体ごと振り向くと、オレンジ色の缶を差し出した。
「布施、ジュース飲む? 今日ちょっと声枯れてるし、コーヒーじゃキツくない?」
「え。ありがとうございます」
その原因はあんたなんだけど、と思いながら、柴谷の差し出したオレンジジュースを有り難く受け取る。
確かに昨日鳴かされすぎて、朝から少し喉が辛かったのだ。
「お前にもほら、コレやるよ」
「ど、どうも」
振り返って、ついでと言わんばかりに山際へ炭酸ジュースを差し出した。
嫌々ながら受け取ろうとした山際が手を出す。
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