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と、柴谷は持っていた缶を彼の眼前で思いきりシェイクした。
「ちょ、うわ、なんで」
「はい、どーぞ」
いきなりの暴挙に焦る山際に、柴谷は満面の笑顔で炭酸の缶をズイと差し出す。
女なら誰もが溜息と共に見惚れるような、可愛らしく魅力的な笑顔。
しかし山際は不愉快そうに眉をしかめて、無言で受け取った。
小さい。あまりにも小さい嫌がらせだ。
「何がしたいんです、柴谷さん」
私が呆れながら尋ねると、柴谷はペロリと舌を出す。
「やだなー、俺の行動に意味なんてないですよん」
それもどうなのか。お前は意味もなくジュースを振るのか。
尋ねたいことは山ほどあったが、ひとまず「邪魔なので消えてください」と退席を促した。
柴谷は再び唇を尖らせ、
「扉は開けとけよ。危険だからな!」
と捨て台詞を吐いて去っていく。
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