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途端──。
わずかに開いた扉の向こうから、ドタンバタンと何かにぶつかる音がする。
うわっ、おふっ、と叫び声がし、次いで慌てて去っていく足音が聞こえてきた。
────柴谷に聞かれたんだ。
すぐにそう気付いて山際を見るが、彼は涼しい顔で仕事の資料を読んでいる。
あいつに弁解する? でも、付き合ってないのは事実だ。
柴谷が自分を落とそうとしているのも、私が柴谷を落とそうとしているのも、負けたくないから。
だけど柴谷は、私のことが好きなはず。
きっと今の言葉には傷ついた、よね……?
いくらあいつでも、好きな人から対象外だと宣言されるのは辛いだろう。
悲しそうに顔を歪める柴谷が思い浮かんで、チクリと胸が痛んだ。
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