三日目:(三日ぼうずのための日記)より抜粋。

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三日目:(三日ぼうずのための日記)より抜粋。

日曜日。晴れ。 今日はこの間告白してきた男の子と出かけました。 私は恋愛に向いてないのかもしれません。 湖水公園は人口の川が張り巡らされた、橋と芝生とおしゃれなカフェがあるきれいな所です。景色もよくて、私は一瞬で好きになりました。公園の真ん中には一際目立つ大きな橋があったのですが、それはロンドンのタワーブリッジをモデルにしたのか、橋の両端に高い塔があり、階段で上ることができました。もちろん上ってきたのですが、私は隣にA君がいるのに、その眺めに魅了されてずっと何も考えられませんでした。上った塔からはどの方向を見ても綺麗な景色しか見えず、人も眼下でとても平和そうにまばらに行き交って、同じ高みには自分しかいなくて…あ、A君もいたのでした。なんだかその景色を見た途端、A君のことなんてどうでも良くなりました。ここから飛び下りようとしたら、A君はきっと私を止めます。でも私は振り切って飛び降り、きれいな景色と空気の中を自由落下して、最高の気分の中で息の根を止める。これ以上きもちいい死に方ってあるでしょうか。今思い出してもそわそわしてしまいます。 明日、学校でA君を振ってきます。 私と付き合うのは、A君が可哀想です。 おやすみなさい。
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