9.不穏な動き

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「冬子さんは、彼の事どう思います?」 「まあ……カッコイイとは思うし、人気あるのはわかる」 「それだけぇ?」  探るような目で、鏡越しにマヤが見つめてきた。  告白されたのに、ということだろう。  だが他に感想がない冬子は、うーん、と考えて、「それだけ」と結論付けた。 「そういえば冬子先輩の方、聡太くんとはどうなったんです?」 「雨宮?」  冬子がきょとんとすると、マヤがわざとらしくため息を吐く。 「居酒屋の皆に聞いたんだけど、お泊まりしたんですよね?」 「ちょっ……! お泊まりって語弊ありまくり!」  というか、皆って、なんで広まってるんだ!?  渋い顔をすると、マヤがニヤニヤ笑う。 「もう最後までいっちゃった? だとしても、負けませんからねー?」 「なに言ってんの、磐田さんはどうしたの!」 「それはそれ、これはこれー」  そう言ってマヤは化粧のついた指先を水でゆすぐと、「ほら、行きますよ」と悠々と化粧室を出て行く。  お前に付き合っとんのじゃ、こっちは!  と言いたいのを堪えて、冬子も後に続いた。
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