28.今日の終わり、明日の始まり

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 店員とはいえ、今日はワカコを祝うパーティだ。  エンジもTシャツではなく白いシャツを着て給仕に勤しんでいる。なかなか様になる格好だ。 「なによ、自分が振られたからって当たんないでよね」 「……おっ、オレはそんなつもりじゃ」 「あんた、私のこと嫌いでしょ? だったらほっといてよ」 「アホすぎてほっとけねぇから忠告してんだろ」 「余計なお世話。ダイキさーん、この店員タメ口きてくるんですけどー!」 「あっ、ちょっ、バカ、やめろ……っす」  エンジとマヤがすごい勢いで言い合っているのを、冬子と雨宮がぽかんとして見ている。と、 「伊藤さん、うるさい。少しは静かにできないのか?」  磐田がツカツカとやってきて、マヤの頭を軽く小突いた。  きゃっ、と嬉しそうな悲鳴をあげて、彼女は磐田の腕にしなだれかかる。  それを見て、エンジがものすごく嫌そうな顔をした。 「あっちに座るから、行くよ。小野瀬、雨宮くん、エンジくん、後でまたね」  片手を上げて冬子たちに挨拶すると、磐田はマヤを連れて颯爽と去っていった。  残されたエンジも、「オレも行きますね」と溜息を吐きながら近くのテーブルを片して、厨房へと戻って行く。  一連の流れを見ていたふたりは、呆然としたまま呟いた。 「……ねぇ雨宮、今のみた?」 「みた」 「あれって嫉妬だよね?」 「だよな、明らかにかっさらってった」  いつの間にかどういうわけか、磐田とマヤの関係性は少しだけ変化している。  しかもそれに、エンジが絡んでいるようで。
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