1074人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
その日、久しぶりに早く帰れそうだったので、マヤの話の事実確認のためにも『だいちゃん』へ向かった。
赤い暖簾をくぐると、賑やかなざわめきが聞こえてくる。
「こんばんはー」
「お。いらっしゃい」
いつものように、ダイキが焼き場からぶっきらぼうに声をかけてくれる。そして、
「あー! 冬子先輩やっときたぁ!」
「やあ、小野瀬。お疲れ様」
「冬子さん……こんばんは……」
奥まったテーブル席に、もう出来上がっているのか大はしゃぎのマヤと、営業スマイルを崩さずに微笑んでいる磐田。
そして、もの凄く不機嫌そうにボソボソとしゃべる死にそうな雨宮の、不吉な3ショットが冬子を迎えてくれたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!